2021.07.08 放送 保護司の仕事

DJ: このコーナーでは、「保護司」の活動について紹介していきます。

石田: こんにちは。今年は、わたくし石田が、保護司会の広報隊長としてお邪魔しました。どうぞよろしくお願いします。

DJ: 初めて聞かれる方も居られると思います。「社会を明るくする運動」と保護司の役割について聞かせていただけますか?

石田: 私も先輩保護司さんから教えていただいたのですが、戦後、昭和24年、東京銀座商店街の有志が、お腹をすかせた子ども達に支援を行った「銀座フェア」という企画がきっかけで「社会を明るくする運動」が始まったと聞いています。今年で71回目となるのですが、昨年は新型コロナウイルスの流行で、開催できませんでした。
そして、残念な事ですが今年も中止となりました。例年ですと、尼崎市長が「社会を明るくする運動」推進委員長、尼崎市保護司会会長が実行委員長となり、運動の強調月間7月の第1土曜日、市長に一日保護司会長となっていただき、中央集会を開いています。 その後、市内6つの地区で、各地区の保護司会が地区集会を開催し、合計 千数百人もの市民の皆様に 更生保護制度や保護司活動を知っていただきます。それが2年続けて開催できなくて残念です。

DJ: 集会が開けないとなると、どのような取り組みをされるのでしょうか。

石田: 7月の1か月間、市内の鉄道駅周辺で 「社会を明るくする運動」 ののぼり旗を掲揚します。 これまでは、阪神尼崎駅北側、JR尼崎駅北側、阪急塚口駅南側、阪急武庫之荘駅北側の4ヶ所に、設置していましたが、昨年からさらに6つの駅にも設置しています。 白地に 『犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ』 と書かれた旗に加えて、今年は、ホゴちゃん、サラちゃんのイラストが入った黄色い旗も目にしていただけます。

DJ: ホゴちゃんとサラちゃんは、更生保護のイメージキャラクターでしたよね。

石田: 非行から立ち直った更生ペンギンのホゴちゃん、サラちゃんです。 2人は昔、非行に走り、犯罪に手を染めた時期もあったのですが、周りのみなさんの支援のおかげで、立派に立ち直りました。 彼らに手を差し伸べたのが 保護司のクジラさん、協力雇用主のあしか親方、BBS会員のイルカ兄さんとイルカ姉さん、更生保護女性会のオコジョさんです。 「社会を明るくする運動」 のポスターに可愛く描かれていますので、ぜひ見ていただきたいと思います。

DJ: いろんなキャラクターが出てきましたね。 ポスターはどこで見られますか?

石田: このポスターは、地域のコミュニティボードや、マンションの連絡ボード、それから、市内の小学校、中学校、郵便局や市の公共施設でも見られます。 また、ネットで「社会を明るくする運動」と検索するとご覧いただけますし、TwitterやInstagramでは「法務省保護局」と検索しますとそれぞれ公式アカウントがあります。YouTubeでは「法務省」とか「法務省 更生保護」または「社会を明るくする運動」と検索すると、「社会を明るくする運動」や更生保護についてご覧いただけます。

DJ: 身近な場所で ホゴちゃん、サラちゃんに会えるわけですね。 

石田: 「非行や犯罪に陥った人たちが、再び社会の一員として 立ち直るのを手助けしよう」というのが更生保護制度なのですが、尼崎市では、更生保護女性会、 BBS会、そして琴友会という名前の協力雇用主会が、力を合わせて、活動しています。 

DJ: 今、名前が挙がった更生保護団体を、ひとつずつ紹介してもらえますか?

石田: はい、更生保護女性会は 女性としての立場から、困っている人を 『ほっとかれへん』 精神で、支援しよう、というボランティア団体です。 たとえば、仮出所の際、身元引受人がいない人は、一時的に「更生保護施設」と呼ばれる場所に住みます。 兵庫県にも姫路と神戸に、その施設があります。 尼崎市更生保護女性会の会員さんは、一年に数回、そこへ出向き、料理を作り、寮生と一緒に食べています。 家庭の味を思い出すでしょうね。 また、青少年健全育成のため、尼崎市内の小学校を訪問し、遊びを通して子どもたちとの交流もしています。

BBSは Big Brothers and Sistersの頭文字で、保護観察を受けている少年・少女たちのお兄さん、お姉さんの視点から、アプローチしようと活動するグループです。 現在のメンバーは、JR尼崎駅北側と三木市にキャンパスがある 関西国際大学の学生さんたちのグループです。コロナ禍で無ければ冬に、保護司や更生保護女性会の会員と一緒に、大阪府にある更生保護施設を訪れ、入所者と一緒に、ゲームをしたり、手巻き寿司やバーベキューを楽しんだりします。

DJ: 協力雇用主会の「琴友会」って、ステキな名前ですね。 琴の浦の「琴」と、友だちの「友」ですよね。

石田: はい、長い歴史を持つ、頼れる 「尼崎琴友会」をご紹介します。 犯罪や非行をした人が立ち直ろうとする際に最も重要なのは、戻ってきた社会に「働く場所があるかどうか」です。無職の人の再犯率(出所後2年以内に再び刑務所へ戻る人の割合)は 有職者の3倍に上るというデータもあります。 尼崎市の琴友会は、今年で創立51年を迎える団体で、様々な業種の50社を超える企業が、保護観察対象者を 積極的に雇おう、と協力してくださっています。琴友会をモデルとして 近隣の西宮、芦屋、伊丹市などでも 次々に、協力雇用主会が生まれています。

DJ: 尼崎市には、今、何人くらいの保護司が活動されているのですか?

石田: 現在 168名の保護司が活動しています。 約3分の1が女性保護司です。兵庫県下には1,900人弱、全国では 約47,000人弱の保護司が活動しています。

DJ: 普段、保護司さんはどのような活動をしているのですか?

石田: 先ず、保護観察です。更生保護の中心となる活動で、法務省所管の神戸保護観察所の保護観察官と協力して、犯罪や非行をした人に対して、更生を目指すための約束(裁判所で申し渡された「遵守事項」)を 守るよう応援・指導し、生活上の助言をして、社会復帰や立ち直りを助けます。

DJ: 保護観察の対象となるのは、どのような人ですか?

石田: 大きく分けて、次の4つです。

  1. 家庭裁判所で保護観察の決定を受けた少年  
  2. 少年院から仮退院中の少年
  3. 刑務所から仮釈放された人 
  4. 裁判所で、保護観察付き執行猶予の判決を受けた人 の4つです。

月に2回ほど、保護司宅へ来てもらい面談をします。 対象者のお宅を訪問し、ご家族と話すこともあります。少年院や刑務所まで、面会に行くこともあります。社会に戻ってくる前から、顔を合わせ、手紙のやり取りをして、絆を太くしておくのです。再び、犯罪や非行に手を染めることなく、社会の一員として自立し、更生していく 『意欲を高めてもらう』、その手伝いをするのが保護司の仕事だと思っています。

DJ: 最後に、地域のみなさんに呼びかけたいことは ありますか?

石田: 繰り返しになりますが、安全で安心な地域を作るためには、犯罪や非行から立ち直ろうとしている人たちを、つまはじきせず、もう一度 地域に受け入れ、 その人たちが地域の中で適切な 「仕事」や「居場所」を確保する、ということが大切です。数年前、国が「再犯防止計画」を打ちだし、地方自治体も 積極的に 具体的な方法を考え、実行するように、という法律ができました。 
  実は、かなり前から、犯罪の件数は減少していて、保護観察の対象者の数も減っています。ただ、再犯者の割合は増え続け、今や50%にもなっています。出所しても、「仕事」や「居場所」が無ければ、再犯に至ってしまう、ということなのです。 仕事探し、居場所作りのために、尼崎市の健康福祉センターが中心となって、さまざまな支援を利用出来るようになってきています。
 また、地域の民生委員さんや社会福祉協議会からも、心強い協力をいただいています。さらに、地域の皆様のご理解と ご協力も不可欠ですから、まずは「更生保護」という活動を知っていただくことがとても大切だと思っています。