2021.07.22 放送 “社会を明るくする運動”作文

DJ: さて、7月は“社会を明るくする運動”強調月間ということで、前回は保護司の石田さんに “社会を明るくする運動”と 保護司の仕事を紹介していただきました。

正岡: 一年半以上の間、新型コロナの感染拡大で沈んだ空気感が漂っていますが、パワフルな石田さんの声で皆様に元気をお届けできたのではないでしょうか。“社会を明るくする運動”とは、罪を犯した人たちの更生、立ち直りについて理解を深めていただき、地域の人々がそれぞれの立場から力を合わせ、犯罪のない「安全・安心な」地域社会を築こう、という運動です。
社会福祉協議会や防犯協会、補導委員さんなどが実施されている防犯パトロール、「登下校時の見守り」も子どもたちの事故防止や被害に会わない為の重要な活動だと思います。また最近では、高齢者の見守りとか子ども食堂への支援・協力など、様々な場面で「安全・安心な街づくり」に、多くの方々が関わっておられます。

DJ: ところで、この運動には作文コンテストがありましたね。

正岡: 毎年、夏休みに市内の小学校・中学校の児童・生徒の皆さんに書いていただきます。昨年は残念ながら、コロナの影響で、作文の募集を中止したのですが、今年は市内の小学校、中学校に “社会を明るくする運動”作文コンテストへの応募をお願いしています。
今日は、“社会を明るくする運動”に関する作文を二人の中学生に朗読していただきます。家族のつながりの大切さ、それからSNSなどネットの便利さと危険性について、話してくれます。

DJ: それでは最初に、武庫中学校1年生、山口結羽優さんの「この世界の家庭環境」をお聞きください。

 私が考える明るい社会とは、家庭環境が充実している社会である。子どもが初めに触れる社会は「家庭」であり、そこでの過ごし方や教育によって人格が形成されるからである。

最近はDVや虐待などの事件のニュースが絶えない。そうした家庭環境で過ごした子どもは人格形成に支障をきたされる。家庭環境が正常であれば、その先の社会である学校、職場などでの問題も減るのではないか。

私の友達にも家庭のことで悩んでいる子がいた。その子は、お母さんから長く説教されたり、長時間座らされたりしていた。私に助けてというも、幼稚園のことでよく分からず、幼稚園生活が終わった。その子の両親も家庭環境に問題があったと考えられる。単にDVや虐待だけでなく、親が不干渉すぎたり、放任主義すぎることも重大な問題だ。

きわめて残忍なことだと感じたが、私はその両親の家庭環境の問題の方に関心があった。そうした環境で育ってしまったことを考えると、この両親の行動も、未熟なアイデンティティが引き起こした社会的問題の膿なのではないかと思う。この両親の行動だけを取り上げるのではなく、その裏に潜む真の原因にスポットを当てることも必要ではないか。

しかし、忘れてはならないのはそうした家庭環境を作り上げてしまった親の方である。親も親で自分の子どもへの接し方や愛情の与え方が分からず悩んでいたことも考えられる。子ども側の立場に味方してしまいがちになるが、親の心の闇を暴いて解決していかなければ本質的な問題解決には至らないだろう。被害者側の心のケアや保護を最優先することはもっともだが、加害者側の心理や悩みを明らかにし、危害を加えてしまった側についても考えると言う問題解決へのアプローチも必要だと考える。子育て相談の窓口を充実させることが必要だ。

私は、その両親だけを責めようとしていた。だが、よく考えてみると、その両親が育った家庭環境はどうだったのか、私たちが思っていることをはるかにこえることだったのか、それをまず考えていかなければならないと改めて思った。

私の友達の子は、どうなったのだろうか。私があそこで助けてあげたら、少しでも悩みは落ちついたのかもしれない。私はどうしてあそこで何もしてあげることができなかったのか、今でも、こうかいしている。先生に相談してあげるとか、私のお母さんやお父さんに相談するとか、いろいろな方法があったのに、どうして何もできなかったのかと、自分をなんども責めた。でも、これ以上、人が苦しむ姿は二度と見たくない。だからこそ、こうなってしまった原因をつきとめて、これからこの世界の家庭環境をよくしていかないといけないのだ。私の友達の分まで、これのような被害にあった人の分まで、せおってこの世界全体が協力して、助け合うことが必要だ。

DJ: 次に、常陽中学校1年 加島 咲季さんの 「ネット批判の苦しみ」をお聞きください。

 私は、少し前にテレビのニュース番組で、ある有名人がネットで批判を受けて自殺してしまったというニュースを見ました。テレビ番組でのその人の行動に、いろんな人がツイッターに投こうして、批判を浴びせたそうです。いろんな人からの批判に苦しみ、その人は自殺してしまいました。

そのニュースを見て、私は批判がどれだけ嫌なことかが分かりました。また、ネットの批判によって苦しめられている人がいることも知りました。一人一人のたった一つの批判の言葉から、人の命がうばわれたということは、とてもおそろしいことだと思います。

そんな中、メジャーリーグのダルビッシュという人が、ネットの批判のおそろしさを伝えるため、ツイッターに「批判を浴びることはこんな感じです」と、虫の大群におそわれている人の写真を投こうしました。ダルビッシュさんも、ネットで批判を浴びることの苦しさを知っているんじゃないかと思います。私はこのニュースを知って、何か言葉を発するときには、しっかりその言葉が相手を傷つけないかを考えて、気を付けて言葉を選ばなければならないんじゃないかと思います。

前にテレビで見た、「3年A組」というドラマでも、このニュースと同じような内容がありました。クラスメートの女の子が、水泳の大会でドーピングをしたという動画を誰かがネットに流し、女の子はネットの批判を浴びせられ、自殺しました。しかしドーピングをしたという動画は、作られたうその動画だったのです。このドラマの中で、うそか本当かも分からないのに、勝手に本当だと決めつけて、相手に批判を浴びせる場面がありました。こんなことは、事実かどうかも分からないのに、無責任に言葉を発しているだけです。だから、何も分かっていない状態で勝手に決めない方が良いと思いました。ネットの情報がすべて正しいとは限らないので、自分の頭で本当に正しいかどうか、判断すべきだと思います。

最初のニュースのことも、その後のドラマの中でのことも、ネットでの批判が一人の人を苦しめています。ネットでの批判で、命がうばわれることもあるというのは、おそろしいことだと思います。また、ネットで言葉を発するのと、直接会って言葉を発するのとでは違いがあります。直接会うのだと、相手の表情や傷ついたのかが分かるけれど、ネットだと相手の表情も相手が傷ついてしまったのか、も分かりません。だからこそ、より一層ネットでは、発する言葉に気を付けないといけないと思います。

ネットは、ユーチューブが見れたり、ゲームができたり、たくさん楽しいことがあるけれど、中にはネットの中で苦しんでいる人もいます。ネットで、無責任に批判をする人を減らすためには、私たちが日々の日常生活の中で、ネットだけに夢中にならず、人と話したり、遊んだりすることなどで、自分の目で物を見たり、感じたりすることも大切だと思います。

DJ: 若い人達が “社会を明るくする運動”に関心を持ってくださるのは、頼もしいですね。ところで、尼崎市内の会社や商店、それから町会長さんの家の玄関先などで、白地のプラスチック製のパネルを見かけるのですが、あれは何ですか?

正岡: “社会を明るくする運動”協賛パネルです。 更生保護活動を応援しよう! という、多くの方々に 毎年、協賛いただき、保護司の活動資金の一部にさせていただいています。 今年は 大小ふたつのピンク色ハートマークの上に、「ありがとう」 その一言で 生まれる笑顔という標語が書かれています。 皆さんに応援していただき、私たち保護司は勇気をいただいています。
来月、8月12日の放送では、兵庫県就労支援事業者機構 尼崎分室で就労支援をしておられる 東保護司が活動を紹介してくださいます。 立ち直りを応援し、再犯を防ぐためには仕事と住居が欠かせません。 また、8月26日の放送では、尼崎市役所で保健師の仕事をしながら、個人で 若者の居場所作り活動をしておられる桑原保護司にお話をしていただきます。 桑原さんの活動は、昨年末に尼崎市の稲村市長が『パラレルキャリア』制度を推進するという発表をされたことにつながっています。これは、尼崎市の職員が本来の仕事をしながら、地域でのボランティア活動をするのを応援します、という宣言です。我々には とてもありがたい追い風となっています。
9月9日に、更生保護女性会の堀会長が出演されます。 困っている人を「ほっとけない」という 女性の視線から保護司会と共に活動をしてくださっている団体です。そして、9月23日には、更生保護協会の岩田会長がお話しくださいます。更生保護協会は、財政面から保護司会活動を支えます。岩田会長は尼崎市の前副市長さんです。広い人脈を活かし、更生保護協会会員の輪を拡大してくださっています。私達保護司も大変、励まされています。

DJ: 多くの人々が協力し、安全・安心な街づくりが進められていることが、よくわかりました。