~重層的支援との出会いから現在まで~

2024.02.06  第2回尼崎市地域共生セミナー ~再犯防止に向けた多機関連携~

小田南生涯学習プラザ3階ホールにて、薬物事犯事例(複数の実際のケースに基くが改変した内容)に関して、司法と行政が連携した支援体制について「リレートーク形式」で発表しました。       160名余の参加者があり、保護司会関係では兵庫県下7地区(伊丹、三田、西宮、宝塚、明石、神戸北区、東灘区)から40名、尼崎市保護司会から31名が参加しました。その他尼崎市職員、市社協職員、民生児童委員、弁護士、医療・介護関係者等もたくさん出席されました。                                                 重層的支援推進担当課より事例※1が紹介された後、県弁護士、神戸地方検察庁捜査官、同再犯防止担当捜査官、大阪矯正管区更生支援企画課長、神戸保護観察所統括観察官、尼崎市南部保健福祉センター長がそれぞれ支援内容を発表され、最後に県地域生活定着支援センター所長が住居探しに関する日頃の苦労話をされ、終了となりました。                                                 最後の質疑応答で、「事例に直接関わっていない説明もあったのではないか」との意見が出されました。来年度の第3回セミナーへ向けた反省点になると思います。このセミナーも動画がYouTubeにアップされるのでは、と期待大です。

※1 覚せい剤使用で逮捕され、帰住先の確保困難事例;覚せい剤の再使用で逮捕されたとき、同居していた男性が身元引受人を引き受け、本人の仮釈放が決定。1週間後保護観察所から依頼を受けた保護司が当該男性の家を訪問したところ、居住しておらず男性とも音信不通になった。それで仮釈放が取り消された。寄り添い弁護士制度を活用して支援を行っている担当弁護士より、満期出所後の帰住先や支援について相談したい、と市保健福祉センターへ相談があった。刑務所入所後、本人は軽度知的障害の疑いと診断されたものの、障害者手帳取得を拒否している。

2024.01.31  全国初、尼崎市と神戸保護観察所、尼崎市保護司会の三者連携協定を締結

罪をおかした人の社会復帰に向けた体制を整え、再犯防止に向け、切れ目のない息の長い支援を目指します。犯罪の背景には貧困や虐待、依存症など複雑な問題が絡み合っている場合も多く、生育歴や家族の状況、障害、犯歴などの情報を様々な支援機関で共有することにより、保護司の精神的負担や実務上の負担が軽減されると期待できます。個人情報の共有や取り扱いに関しては明文化し、再犯防止に向けた包括的支援体制が作られます。この協定には、高齢化が進む保護司の人員確保等への協力も盛り込まれており、団塊の世代の保護司退任が続いている尼崎市保護司会へのエールとなっています。

2023.02.09 第1回尼崎市地域共生セミナー開催

令和5年2月9日(木)尼崎市・神戸保護観察所・尼崎市保護司会主催、兵庫県弁護士会・社会福祉法人尼崎市社会福祉協議会の後援で、第1回尼崎市地域共生社会セミナーをWEB上で開催しました。① 神戸保護観察所統括観察官より「地方公共団体における再犯防止と更生保護」の説明   ② 神戸地方検察庁社会復帰支援担当官より 「触法支対象者への入口支援」、 ③ 大阪矯正管区成人矯正調整官と更生支援企画課より「刑事施設における福祉的な課題のある対象者への支援」、④ 兵庫県弁護士会より「寄り添い弁護士制度について」の説明がありました。

2022.09.16   第3回連携会議 ~切れ目のない支援を目指して~
支援者サポート会議(重層的支援のケース協議)

尼崎市保護司会サポートセンター大会議室において、第3回連携会議が行われました。この連携会議では、尼崎市が多機関連携による支援を進めるための『支援者サポート会議※1』という形式で、保護観察所から提供のあった支援困難事例の検討を行い、事例検討の参加者、傍聴者合わせて23名が参加しました。

この『支援者サポート会議』では、尼崎市重層的支援推進担当課の職員3名がファシリテーターと記録係を担当し、保護司が関わる生活環境調整※2事例に基づき、保護司、担当保護観察官(主任官)、弁護士、兵庫県地域生活定着支援センター職員、尼崎市北部保健福祉センター職員(北部障害者支援課、北部保健課、北部福祉相談支援課)、尼崎市社会福祉協議会職員の計9名により、情報共有や意見交換が行われました。

また、神戸保護観察所統括観察官2名、保護司会3名(正副会長)、検察庁社会復帰支援担当主任捜査官、北部保健福祉センター職員(北部障害者支援課、北部福祉相談支援課)、社会福祉協議会職員2名の計11名が、支援者サポート会議でのやり取りを傍聴しました。

最後の振り返りの中で、参加者と傍聴者から「多くの支援機関がつながっていることに気づけた」「支援者が集まることで、情報がつながり、世帯の課題が見えるようになった」「専門機関ごとの着眼点を学ぶことができ、今後の支援に活かすことができる」といったコメントがありました。尼崎市重層的支援推進担当課長からも、「有意義な情報交換、意見交換ができ、引き続き、様々な支援関係者の協力により、支援者サポート会議の充実を図っていきたい」との意気込みが示されました。

今回の事例検討において、誰から、どのような支援ができるのかの提案は、次回の「支援者サポート会議」に持ち越されましたが、こんなに情報が集まるのか、と傍聴しながら正直驚き、感動を覚えました。複雑で困難な保護観察の突破口となり、再犯防止に向けて有効な方法になるだろうと期待しています。保護司活動に関係する、様々な機関の方々とも顔つなぎができ、大変有意義な会議となりました。

※1 支援者サポート会議:尼崎市では社会福祉法第106条の6に規定された支援会議として位置付け、支援者サポート会議という名称で呼んでいます。支援者間で個人情報の共有がしやすくするために、社会福祉法で支援会議の構成員に守秘義務が課せられています。

※2 生活環境調整:刑務所や少年院に収容されている人の帰住先を調整すること。出所後の生活設計等について、引受ける家族等と話し合いを進めることで、仮釈放や仮退院へ向けての生活環境を調整します。

再犯防止に向けたミニ知識

  • 平成29年12月 「再犯防止推進計画」閣議決定
    犯罪や非行をした人が、適切な福祉サービスや民間の社会資源によるサポートを受けられるよう、国や地方公共団体、民間が緊密に連携協力することが重要。
  • 令和元年12月 「再犯防止推進計画加速化プラン」 犯罪対策閣僚会議で決定
    ①満期釈放者対策の充実強化 ②地方公共団体との連携強化の推進  ③民間協力者(保護司等)の活動の促進
  • 令和4年3月  第4期「あまがさきし地域福祉計画」 公表
    再犯防止への取り組みが含まれている。
  • 令和4年4月  重層的支援推進担当課 が発足、重層的支援体制整備事業を実施
    この一環として、前述の「支援者サポート会議」を実施。

尼崎市の再犯防止に向けた取組

  • 再犯者率※3が、全国や兵庫県と比較すると高い。令和元年60.1% (全国50.5  県53.3)
  • 特に薬物事犯の再犯者率が特に高い。令和元年89.9% (全国75.1 県76.7)

※3 再犯者率:検挙された人の中に、過去にも検挙等された人がどの程度いるのかを見る指標

これまで

  • 課題1:対象者が支援に同意しない場合は、他の支援機関と情報共有できない。
  • 課題2:保護観察所や保護司は、保護観察期間しか支援できない。長期的な支援が必要な人も多く、対象者・世帯の状況に応じた支援者間の調整が必要。
  • 課題3:対象者・世帯が複合課題を抱えていた場合、相談窓口がわかりにくく、各窓口との連絡調整も負担になる。

これから

  • 支援会議(社会福祉法第106条の6):本人の同意がなくても、守秘義務規定により、他部局・他機関との情報共有が可能になる。

2022.09.12   兵庫県弁護士会「寄り添い弁護士制度研修会」にリモートで参加

罪を犯してしまった障害者や高齢者らの社会復帰を支援し、再犯を防ぐ取組が進められています。刑務所から出所した後だけでなく、逮捕されたものの、不起訴になった場合にも支援対象とする動きが広がりつつあります。

2016年に兵庫県弁護士会が始めた「寄り添い弁護士制度」をご存じですか。現在では愛知県、広島県、札幌市で導入されており、令和4年(2022) 10月に第二東京弁護士会でもこの制度が始まるそうです。罪を犯した障害者や高齢者が対象で、その弁護だけでなく、社会復帰まで支援する制度です。逮捕された人の「入口支援」と刑務所内の受刑者への「出口支援」を担います。もともと事件を担当した国選弁護士がボランティアで支援していたものを、弁護士会などが費用を支払う仕組みにしました。本人の承諾を得た後、さまざまな支援を行います。たとえば、社会復帰時の寄り添い、社会復帰後の見守り、法的なトラブル(借金、生活保護申請等)の処理、矯正施設内での見守り(面会)などです。

法務省の2020年度調査によると、全国の刑務所で知的障害やその疑いがある受刑者は1345人。この内414人は療育手帳(知的障害の障害者手帳)を持っています。知的障害のある受刑者の中には、必要な支援がないまま、短期間で犯罪を繰り返し、刑務所に何度も入ってしまう人がいます。また、社会の高齢化にともない、逮捕者に占める65歳以上の高齢者比率は、約2割にのぼり、死別・離婚等で配偶者がおらず、住宅確保が困難で、短期間で万引きなどの罪を繰り返す人も多くいます。

この研修では、明石市更生支援コーディネート事業が紹介されました。根拠法令は「再犯の防止等の推進に関する法律(平成28年(2016) 12月施行)」と「明石市更生支援及び再犯防止等に関する条例(平成31年(2019) 4月施行)」です。明石市社会福祉協議会が明石市から委託を受け、社会復帰に関する相談及び個別的な支援(入口・出口)を行っています。地域移行した人のフォローアップも担い、つなぎ先を確保し、地域の生活者として生活を立て直す、という視点を重視し活動しています。

2022.09.09   未来の「社会福祉士」に保護司活動を紹介

尼崎市重層的支援推進担当課からの依頼を受け、社会福祉士を目指す実習生5名をサポートセンターにお迎えしました。県内外の5大学から各1名の女子大学生が参加。東保護司からパワーポイントを利用し、①犯罪の発生から保護観察が言い渡されるまで、②保護観察の種類、③保護司の仕事、④保護司制度の歴史、⑤社会を明るくする運動、等々の説明を受けました。その後、参加した学生全員から質問(保護司としてどのような寄り添いが可能か。障害を抱える対象者にはどのような対応をしているか。本人のみならず家族への対応はどうしているのか。行政、他機関とのネットワーク作りは。等々)が出され、活発な意見交換ができました。

2022.08.23   あまがさき飲酒と健康を考える会で、ケース発表

小田南生涯学習プラザにおいて開催された、第18回定例会に参加し、保護司活動・尼崎市保護司会の現状を紹介、並びにアルコールと薬物依存のケース(架空)を提供し、当日参加者90名余りで意見交換しました。依存症を克服した当事者、精神保健福祉士、相談支援員、保健師、看護師、社協職員、行政職員、市議会議員、弁護士、観察所職員、保護司、大学生等々、さまざまな背景を持つ人たちが集まりました。多くの方々と横の連携が出来ることは、今後の保護司活動にも必ずや役立つと確信しています。

2022.07.15  神戸保護観察所、重層的支援推進担当課、保護司会 第2回連携会議

尼崎駐在官事務所にて5月20日の第1回連携会議に続き2回目の開催。神戸保護観察所3名(統括観察官)、重層的支援課5名、社協重層グループ2名、保護司会3名(正副会長) が参加し、意見交換とケース研究を実施。連携会議は、今後も2カ月毎の開催予定。

厚生労働省社会・援護局地域福祉課長からの通知(令和3年(2021) 3月29日付)

「重層的支援体制整備事業と保護観察所等との連携について」によると、地域共生社会実現のため、地域住民の複雑化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、市町村において、1)属性を問わない相談支援、2)参加支援、及び3)地域作りに向けた支援、の3つの支援を一体的に実施する事業【重層的支援体制整備事業】が創設され、令和3年4月1日から施行されることになりました。

刑務所出所者等(保護観察対象者、更生緊急保護対象者)については、一般の地域住民に対する支援に加え、更生保護法を中心として必要な支援が行われますが、刑務所出所者等の中には複合的な課題を抱える者が少なくないことから、より分野横断的な連携体制の構築が必要となります。市町村全体の支援関係機関が相互に連携し、本人や世帯に寄り添い、伴走する体制の構築が重要になります。従来の支援体制では対応が難しい、複雑化した事例については、課題の解きほぐしを行い、適切な支援を実施します。

法務省保護局観察課長からの通知(令和3年(2021) 3月29日付)

「保護観察所と重層的支援体制整備事業との連携について」によると、【重層的支援体制整備事業の概要】は、

1)包括的相談支援事業;相談者の属性、世代、相談内容に関わらず、包括的に相談を受け止める。

2)多機関協働事業;複雑化・複合化した事例に関しては、課題の解きほぐし、関係機関の役割分担を図るため、重層的支援会議を開催し、情報共有を図ると共に各機関の役割分担を示した支援プランの評価、社会資源の把握に努める。

3)アウトリーチを通じた継続的支援;自ら支援につながれない者に対し、本人との関係構築に向けた支援を行う。

4)参加支援事業;地域の社会資源を活用して社会とのつながり作りを支援する。

5) 地域作り事業;世代・属性を超えて住民同士が交流できる多様な場や居場所の整備等。

※保護観察や生活環境調整を実施する際、その対象者が複雑化・複合化した課題を抱えている 場合、上記のような重層的支援体制整備事業の利用を勧めることになると思われます。

2022.07.14   第1回 北部有資格者会議~重層的相談支援体制について学ぶ~

尼崎市北部保健福祉センターにて、保護司会より2名参加。社会福祉士、保健師等の市職員と共に、今年度4月に新しく設置された「重層的支援推進担当課」より、重層的相談支援体制と『個別支援会議』の運営等に関する説明を受けました。

平成30年(2018) 10月1日に施行された改正生活困窮者自立支援法において、「関係機関間の情報共有を行う会議体」(支援会議)が設置可能になりました。これまでの個別支援では、関係機関間での情報共有が進まず、深刻な困窮状態を見過ごし、予防的措置を取りづらい場合があり、問題視されてきました。そこで、会議構成員に『守秘義務』をかける形で支援関係者間の積極的な情報交換や連携が可能となる、個別ケース支援のための会議体『個別支援会議』が法定化されました。キーワードは「支援関係者間の積極的な情報交換や連携」と「構成員に対する守秘義務がかけられている」ことです。今後、保護司が『個別支援会議』に参加するケースも出てくると思われます。以上のような説明を受けた後、小グループに分かれてのケース研究、グループ討議を実施しました。

※「重層的相談支援、個別支援会議」という新制度に関しては、尼崎市保護司会 各分会の例会時に担当の市職員が順次出席され、説明いただく予定です。

2022.04.13  4月常務理事会にて福祉課職員と交流

サポートセンターにて、令和4年4月の常務理事会が開催されました。保護司会とのパイプが太い「尼崎市健康福祉局福祉部」から、着任されたばかりの畠山福祉課長をはじめ職員の方々が大勢挨拶に来られました。今年度新設された「重層的支援推進担当課」課長に着任された高橋前福祉課長も。尼崎市第4次地域福祉計画にも取り挙げられている満期出所者への対応もこの課で取り組みます。再犯防止に向け、社会全体で協力し支援していきます。