2022.08.25 放送 尼崎地区BBS会の活動:居場所づくり

 MC: 今回は、尼崎BBS会のお二人に、最近の活動や周囲の人々との関わりについてお話を伺います。

増井: 皆さんこんにちは。

尼崎地区BBS会会長の増井と申します。普段は社会福祉士として、尼崎市でひきこもり支援専門の相談員として働いています。 BBS会は、非行など様々な問題を抱える少年に、お兄さんやお姉さんのような身近な存在として接し、少年の自立を支援する「ともだち活動」等を行う青年ボランティア団体です。 全国に約500のBBS会、約4,500人の会員がいます。

古田: BBS会員の古田です。よろしくお願いします。普段は添削やイベント設計など、教育に関わる仕事をしています。

MC: よろしくお願いします。BBS会員の方は、若い人が多いんですね。

増井: そうですね。私たち尼崎地区BBS会は、高校生と大学生、そして社会人の 計6名です。

社会福祉士、保健師、教師、そして福祉に意欲的な学生メンバーたちが、それぞれ自分なりの思いを持ち、BBS会に所属しています。

MC: 普段はどのような活動をされているんですか。

増井: 代表的な活動としては、関連施設への訪問と、ともだち活動です。保護観察の対象となっている少年たちと、1対1、もしくは少年1名と会員数名で、「ともだち」として関わり、彼らの自立を見守る活動をしています。 保護観察所から依頼を受けて、保護司さんと連携して行います。

MC: そうですか。

増井: また、非行防止活動として、非行につながりにくい 社会環境づくり をすることも重要です。 なので、BBSでは、非行傾向のある・無しに関わらず、子どもの居場所づくり支援や ともだち活動、それらに関する広報活動を行っています。居場所支援や居場所づくりという言葉を耳にされたことはありますか?

MC: 最近よく聞きますね。 どのようなことをしているのですか。

古田: 僕から話しますね。今年の6月、つかしんの近くに 新しくYokaと呼ばれる施設ができました。立ち上げ・運営をしているのは「一般社団法人えんぐらぶ」です。Yokaは 常設の居場所支援の活動場です。そこでは、集まった子どもたちで部屋の障子をデコレーションしたり、近隣住民と一緒に敷地内の草引きイベントに参加したり、しています。今後はコロナの状況をみながら、尼崎地区BBS会のメンバーが、地域の子どもたちや えんぐらぶのスタッフと食事もできるようなイベントを開催する予定です。

MC: 楽しそうですね。

古田: また、僕は以前、保護観察対象者の少年に学習支援をしたことがあります。新しくできたこのYokaでも同じように、集まってくる子どもたちと一緒に勉強したいです。

MC: それはいいですね! 居場所づくり・居場所支援に取り組もうと思ったきっかけは何かあったんですか。

古田: そもそも社会的に孤立してしまう人を作らない姿勢が大事です。 保護観察対象者について知ることや交流は従来通り続けますが、もっとBBSが主体的に動けるプロジェクトを立ち上げても良いと思います。地域に根ざした他の活動団体と積極的に連携して、子どもたち、のみならず 大人にとっても居場所づくりは重要なんだ、ということを社会に発信していきたいです。

増井: そうですね。居場所支援では、子供たちが穏やかに過ごせる場所として、自宅や学校以外で、もう一つ別の居場所を地域に提供しています。社会に居場所を作ることは大切だと思います。私自身も中学生のころに学校に行けていない期間があり、家庭や学校でもない、地域の第三の居場所を求めていた時期がありました。

古田: 実は僕も、学校に行っていない時期に、そういう場所に出入りしていました。まあ、友達の家で、たまり場でしたけどね(笑) 人を孤立させないために、または、孤立をしたとしても頼れる場所があるんだ、という風に思ってほしいです。本当の意味で一人ぼっちになってしてしまうと、怖くなるし、自分がこういう目にあっているのは社会のせいだと感じてしまう可能性もあります。

社会に対する信頼は、すぐに作れるものではないですから、時間をかけて、10年後、20年後に助けを求められる場所を作っていけたらと思います。

MC: お二人の実体験から生まれた心温まる活動で、未来に向けて勇気がわいてきます。

増井: 沢山の方々が、すでに居場所支援の大切さについて考えをお持ちでした。今年のゴールデンウィーク中、地域のイベントに参加して、BBSの居場所支援の宣伝を行いました。そこに来られた方々とお話しする機会があったのですが、中高生時代に不登校を経験した子をもつ保護者の方で、社会から孤立しないこと、また孤立を防ぐという私たちの説明に対して、共感してくれる人が多かったです。こちらから、居場所支援に関する情報発信をするつもりが、逆に子どもの実態について教わることも多々ありました。 保護司さんは、居場所支援についても全面的に協力してくださり、いつも見守ってくれています。

MC: それは心強いですね。

古田: そうですね。普段から、社会的に生きづらさを抱えている人々に対して温かく接してらっしゃるので、保護司会のみなさんは優しくしてくれます。

増井: そうなんです。とにかくやさしいです。保護司の方は皆さん広い心で私たちBBS会員にも接してくださってます!

古田: 保護司の方々は、コミュニケーションのプロでもあり、良い関係をすぐに作ることができましす。人間関係が良い環境で活動をするのは気持ち良いものです。

私は、現在、保護司会公式ホームページの管理をお手伝いしています。BBS会の記事やブログも投稿させていただいています。人生の大先輩の保護司とBBS会員、歳の差がうまく功をなして、お互い切磋琢磨しています。

MC: 保護司さんも心強く思っておられるでしょう。

増井: そうですね。会議での情報共有やBBS活動の相談に乗っていただいており、BBS会員としてだけではなく、人として成長させていただいていると思います。

MC: 貴重な経験をしておられることが良くわかりました。最後に皆さんにお伝えしたいことがありますか。

古田: はい。最後に僕が個人的にボランティアをしている意味についてお伝えしたいと思います。

僕がBBS活動を続けているのは、過ちを起こしても、社会復帰できるし、すべきだし、それを支援すべきだと思っている、その意思表明として、この会に所属し続けています。自分が持つ信念に最も近いボランティア団体に所属することだけでも、必ず意味があると信じています。

増井: そうですね。古田さんは社会に対して意思表示を行うという目的があってBBS会に入っています。私は、更生保護の活動をしながら、私自身が仕事と家庭以外での居場所を求めている部分があるのかもしれないですし、私と似たように居場所や心のゆとりを求めている子どもたちを支えたいと思っているからです。

MC: お二人の暖かい人間味あふれる言葉が、将来の社会を明るくすると感じました。尼崎地区BBS会の増井さん、古田さん、ありがとうございました。