2022.09.12  兵庫県弁護士会「寄り添い弁護士制度研修会」にリモートで参加

罪を犯してしまった障害者や高齢者らの社会復帰を支援し、再犯を防ぐ取組が進められています。刑務所から出所した後だけでなく、逮捕されたものの、不起訴になった場合にも支援対象とする動きが広がりつつあります。

2016年に兵庫県弁護士会が始めた「寄り添い弁護士制度」をご存じですか。現在では愛知県、広島県、札幌市で導入されており、令和4年10月に第二東京弁護士会でもこの制度が始まるそうです。罪を犯した障害者や高齢者が対象で、その弁護だけでなく、社会復帰まで支援する制度です。逮捕された人の「入口支援」と刑務所内の受刑者への「出口支援」を担います。もともと事件を担当した国選弁護士がボランティアで支援していたものを、弁護士会などが費用を支払う仕組みにしました。本人の承諾を得た後、さまざまな支援を行います。たとえば、社会復帰時の寄り添い、社会復帰後の見守り、法的なトラブル(借金、生活保護申請等)の処理、矯正施設内での見守り(面会)などです。

 法務省の2020年度調査によると、全国の刑務所で知的障害やその疑いがある受刑者は1345人。この内414人は療育手帳(知的障害の障害者手帳)を持っています。知的障害のある受刑者の中には、必要な支援がないまま、短期間で犯罪を繰り返し、刑務所に何度も入ってしまう人がいます。また、社会の高齢化にともない、逮捕者に占める65歳以上の高齢者比率は、約2割にのぼり、死別・離婚等で配偶者がおらず、住宅確保が困難で、短期間で万引きなどの罪を繰り返す人も多くいます。

 この研修では、明石市更生支援コーディネート事業が紹介されました。根拠法令は「再犯の防止等の推進に関する法律(平成28年12月施行)」と「明石市更生支援及び再犯防止等に関する条例(平成31年4月施行)」です。明石市社会福祉協議会が明石市から委託を受け、社会復帰に関する相談及び個別的な支援(入口・出口)を行っています。地域移行した人のフォローアップも担い、つなぎ先を確保し、地域の生活者として生活を立て直す、という視点を重視し活動しています。