プリズンサークル上映会(尼崎カウンセリング協会主催)

 尼崎市立小田南生涯学習プラザ3階大ホールに入りきれないくらい多くの方が参集、立ち見が出るほどの盛況でした。近隣市の保護司も来られ、神戸市東灘区保護司会から参加された保護司さんが、帰路の電車内でホットな感想をHPにアップされたと聞き、びっくり!その感動冷めやらぬアップ記事の転載を許していただきました。以下ご覧ください。


尼崎カウンセリング協会主催
映画プリズンサークル上映会
@尼崎市立小田南生涯学習プラザ

和田会長、山下支部長、中瀬さん、石田 にて参加してまいりました。
『島根あさひ社会復帰促進センター』は、官民協働の新しい刑務所です。そこで行われている『TC(Therapeutic Community 』=回復共同体という更生プログラムのドキュメンタリーです。
TCプログラムが導入されているのは日本ではここだけで、40名程が受けています。
TCの内容は、とても深いもので、受刑者に罪の意識を認識させ、気づきを促します。
映画では、TCを受けて様々な気づきを得ていく4人の受刑者が登場します。
全員に共通するのは、やはり子供時代の家庭環境。
目を背けたくなるような酷い経験をしてきています。
犯罪を犯した時の感情を振り返るだけでなく、子供の頃の過去の辛い感情にも向き合わせます。
被害者、加害者両方の立場で考えさせる、ロールプレイでは、他の受刑者からも鋭い問いかけが次々と迫ってきます。
2つの椅子、という方法は、人生で選択に迷った時にも使える優れたものだと思いました。
TCプログラムを受けて出所した再犯率は、半分以下とのことです。
2時間半の長時間でしたが、メモ取りながら、考えながら、時には泣きそうになりながら観ていて、良質な教え、気づきを得ることが出来たのではないかと考えております。
保護司の皆さんに是非おススメしたいと思います。(石田保護司投稿)


続いて、関西学院大学の学生さんの感想を一部紹介します。

Aさん:この映画を観て、犯罪者を⼀⽅的に「悪」と決めつけるのではなく、なぜ彼らが犯罪に⾄ったのか、その背景や⽣い⽴ちに⽬を向けることの⼤切さを改めて考えさせられました。家庭環境が不安定だったり、学校で居場所を⾒つけられなかったりと、幼い頃から孤独や虐待、貧困などに苦しみ、誰も助けてくれない。こうした環境が、犯罪という選択に追い込んでしまったのではないかと感じました。

受刑者同⼠が⾃分の経験や感情を⾔葉にし、互いに⽿を傾ける場⾯が多くありました。⾃分の中にある葛藤や、これまで⾔葉にできなかった思いを率直に伝え、それに対して相⼿の⾔葉を受け⽌める。そうした"⼈とのやり取り"を通じて、⾃分の過去と向き合い、孤独や閉塞感が和らいでいるような様⼦が印象的でした。特に、受刑者同⼠で加害者役と被害者役を演じて話し合う場⾯が⼼に残りました。実際の被害者と直接向き合うわけではないとはいえ、疑似的にその⽴場を経験することで、⾃分が他者に与えた痛みや苦しみをより深く理解し、罪と向き合うきっかけとなっているように思いました。

ただ刑に服するだけでなく、社会復帰に向けてどのように更⽣の機会を作るのか。 それは受刑者だけでなく、社会全体で考えるべき課題だと感じました。

Bさん:先ず、対話が処遇の質を⾼める重要な⼿段であると再認識しました。拘禁刑の施⾏(令和7年6月1日)に向けたリフレクティングの導⼊など、対話を重視する取り組みがより広く適切に実施されることを願います。

次に、対話は刑務所に限らず、学校や職場、家庭など、あらゆる場において重要であると感じたことです。会話と対話は必ずしも同義ではなく、私たちは⽇常⽣活の中でどれほど対話を⾏っているのだろうかと考えさせられました。社会全体で対話が適切に⾏われていれば、犯罪や⾮⾏の減少、ひいては⼀⼈⼀⼈の幸せにつながるのではないかと思います。 

 環境によっては誰もが罪を犯しやすくなる可能性があるという事実に改めて怖さを感じました。被害を受けた時点で適切な⼼のケアが提供されていれば、加害者になることを防げたかもしれない、という点も考えさせられました。