2022.07.28 放送 ”社会を明るくする運動”作文

MC: 今日は尼崎市保護司会の石田さんにお越し頂きました。よろしくお願いします。

石田: よろしくお願いします。

MC: さて、7月は“社会を明るくする運動”強調月間ということで、前回は保護司の伊藤さんに “社会を明るくする運動”と 保護司の仕事を紹介していただきました。

石田: “社会を明るくする運動”とは、罪を犯した人たちの更生、立ち直りについて理解を深めていただき、 地域の人々が それぞれの立場から力を合わせ、犯罪のない「安全・安心な」地域社会を築こう、という運動です。  社会福祉協議会や防犯協会、補導委員さんなどが実施されている防犯パトロール、「登下校時の見守り」 も子どもたちの事故防止や 子どもたちが被害に会わない為の重要な活動だと思います。 また最近では、高齢者の見守りとか 子ども食堂への支援・協力など、様々な場面で 「安全・安心な街づくり」 に、多くの方が関わっておられます。 

7月1日に、尼崎市内の鉄道駅、今年は9か所に“社会を明るくする運動”の のぼり旗を設置しました。 尼崎市役所南館にも掲揚しています。

普段、皆さんがお買い物をされる お店の店内放送でも “社会を明るくする運動” が紹介されています。 地域のコミュニティー掲示板には おしゃれなポスターも貼られています。 今年のポスターに書かれているメッセージがとてもステキ!なので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです。 勇気をもらえるメッセージです。

MC: ところで、この運動には作文コンテストがありましたね。

石田: はい、毎年、夏休みに 市内の小・中学校の児童・生徒の皆さんに書いていただきます。 昨年度の 第71回 “社会を明るくする運動”作文コンテストには、小学生の部に327点、中学生の部に400点の応募がありました。 その中から、今日は、それぞれの部で、 尼崎市推進委員長 金賞に輝いた お二人の方に作文を朗読していただきます。    

それでは最初に、島津幸代(ゆきよ)さんの「明るい社会をつくるには」をお聞きください。島津さんは、難波の梅小学校6年生の時にこの作文を書きました。 現在は中央中学校1年生です。

島津 幸代(ゆきよ)さん 朗読

私は事故や犯罪にかかわったことは一度もありません。でも、テレビをつけてニュースを見ていると、事故や犯罪の報道がされているのをよく見ます。私は事故や事件のニュースを見たときは、もし自分も事故や事件にまきこまれたらと考えてこわくなるときがよくありました。

「社会を明るくする運動」を書くことになったのでどんな人が罪を犯すのかについて考えてみました。私が考えてみたところきっとそれは、生活をするのが大変な人だったり、生きることが楽しくない人だったりなのではないかと思いました。そのような人たちが罪を犯し罪をつぐなって社会に出たとき、きっと一度罪を犯した人だから、一緒に働きたくないからとか、会社のイメージが悪くなるからなどといった様に思われて会社に就職しにくくなると思います。就職できたとしても周りから差別をされたり、冷たくされたりすることがあると思います。そんなことになるとそんな社会にいるのがつらくなり、また、罪を犯してしまうことだってありえると思います。しっかりと反省して罪をつぐなっても社会の目が冷たいとその人が誤った道に進んでしまいまた事件が起きるかもしれないので、自分たちのためにも、罪をつぐなって社会に出ようとしている人のためにも、差別をしたり、冷たく接するのではなく、受け入れて助け合っていくことが大切だと思います。また、犯罪を犯す人を減らしていくためには、まずは家族や友達ときずなや交流を深めて、困ったことがあったり、なにか相談をしたいことがあったりしたときに、たよれる人や、相談しやすい人との関係をつくっておくと、すぐに相談ができ話を聞いてもらうことで心が楽になって、犯罪を犯すことを未然に防げるかもしれないし、家族で団らんなどをすること明るい気持ちになって罪を犯さずに楽しい人生を送るということもできると思うので人と人とのつながりを持つことも大切だと思います。

 私はこの作文を書いて人と人が助け合ったり、つながりを大切にして相談にのったり、相談をしたりすることで、明るい社会をつくることができていければいいなと思いました。

石田: 続きまして、昨年、大庄北中学校3年生の時に書かれた 岡田未来(みらい)さんの 「罪を犯す人を減らすために」をお聞きください。 岡田さんは現在、県立尼崎北高校1年生です。                         

岡田 未来(みらい)さん 朗読

罪を犯してしまった人の過去について、皆さんは考えたことがありますか。

「犯罪」「非行」どちらもしてはいけないこと、私たち中学生なら誰もが知っていると思います。強盗、窃盗、殺人…。身近で起きたら恐怖を感じますよね。しかし、罪を犯している人も私たちと同じ人間です。では、なぜ非行に走り、罪を犯してしまうのでしょう。

私は最近、昔に起こった事件や犯人のその後などを自らインターネットで調べています。それは、単純に自分の知らないことや考え方を知ることが面白いと感じるからです。色々な事件で罪を犯してしまった人々のことを調べていると、ある共通点を見つけました。その人達は、家庭環境が複雑でした。全員が全員そうではありませんが、やはり一人では生きていけない幼少期、大好きな親に見放されてしまうと心に穴が空くのではないでしょうか。また、親から何も教えてもらえないことだったり、生活の苦しさ故に親子のコミュニケーションが少なくなってしまうことだったり、暴力だけでなく経済的、教育的な貧困がある場合も多く見受けられます。そこから社会への関心がなくなってしまい、不登校や引きこもりがちになることも多くあります。そして、親の離婚や再婚などの家庭環境に置かれていた子どもが犯罪に走ってしまうケースも見られました。幼少期から父親に性的虐待を受けていた男児が、自分が結婚し子供を授かった後、その子供に父親と同じように性的虐待をしてしまう。またその子供が父親と同じ道を歩んでしまう…。というような実際に起こった事件があります。このような負の連鎖が続いてしまうと、犯罪者は減りません。

このようなことに気付いた私は、犯罪がない世の中をつくるためには、「犯罪に走らない家庭環境」をそれぞれが意識し、つくることが大切だと思いました。例えば、暴力で全て解決しようと思わず、親子で話し合いができる家庭、辛いことや悲しいことがあったとき気軽に相談できる関係がある家庭、適度にお出かけする家庭、など明るく楽しい家庭が増えることで犯罪は減っていくのではないかと思いました。親が子へたっぷり愛情をあげ、もらった子供はその愛情をまた自分の子へあげる。このような連鎖が明るい社会を作っていくのではないでしょうか。

しかし、愛情をもらって育っても罪を犯してしまう人はいます。そのような人は、子供の頃から奇妙な行動が目につくといいます。虫の足をちぎっていたり、平気でウソをついたりと善悪の区別がはっきりしていないようです。この小さなことの積み重ねが将来犯罪に走ってしまいます。ある少女がいました。その子は小さいころから奇妙な行動を頻繁にとっていましたが、親は何も言いませんでした。少女が中学生になったころ、同級生からの嫌がらせの腹いせでその同級生の給食に漂白剤をいれ、その子は救急車で搬送されてしまうというような大事になった出来事がありました。学校側は少女の父親にカウンセリングを受けるよう提案しましたが、父親は周囲の目が気になるからとそれを拒否しました。その数年後、少女は日本を震撼させた大事件を起こしてしまいます。それが、「佐世保高一同級生殺害事件」です。

この事件は防げたかもしれません。もし、父親がカウンセリングの提案を受け入れていたら、起こらなかったかもしれません。

このようなとき、どうすればいいのでしょうか。それは、その行動に親がしっかり「ダメ」と伝えることだと思います。自分でダメなことに気付くまで放っておいたり、子どもだから…と許したりしてはいけないのです。しっかり善悪の区別をつけさせ、その子の将来のためにも叱ってあげることが親の務めではないでしょうか。周囲の目を気にするよりもその子のためにしてあげられることをするのが大切だと思います。

子どもは親を選べません。その子が将来犯罪者にならないように、その子が真っすぐ育ってくれるように、あたたかい家庭でその子を受け入れることが明るい社会、明るい未来へとつながっていくのではないでしょうか。

                         

MC: 若い人達が “社会を明るくする運動”に関心を持ってくださるのは、頼もしいですね。

石田: そうなんです。 来月8月25日の放送で紹介予定の BBS活動などに、将来、機会があれば 参加していただきたいな、と期待しています。 BBS活動は、若者や大学生が、若者目線から、道を踏み外しそうな少年、あるいは既に非行に走ってしまった少年たちに寄り添う活動です。

MC: ところで、尼崎市内の会社や商店、それから町会長さんの家の玄関先などで、白地のパネルを見かけるのですが、あれは何ですか?

石田: “社会を明るくする運動”協賛パネルです。 更生保護活動を応援しよう! という、多くの方々に 毎年、協賛いただき、保護司の活動資金の一部にさせていただいています。 今年は 爽やかな緑の葉っぱが ついた、一本の木 が背景となり、『笑顔咲く 優しい心で 明るい社会 』 という 標語が書かれています。 

  話は変わりますが、今年1月に 念願の 尼崎市保護司会ホームページが立ち上がりました。そのホームページ上では、保護司活動を紹介する冊子や、尼崎市保護司会が 年2回発行している 機関紙 のバックナンバーも読んでいただけます。         来月、8月11日の放送では ホームページの立ち上げに尽力くださった 小田地区分会長の井村保護司が、話をされます。

  もう一つご報告なのですが、昨年この番組に出演いただいた岩田 (つよし)会長のもと、更生保護協会の、特に法人会員の輪がどんどん広まり、おかげさまで、令和4年度から 尼崎市保護司会の年会費がかなり減額され、私たち保護司は大変喜んでいます。

  皆さんに応援していただき、私たち保護司は更生保護活動への勇気をいただいています。

MC: 多くの人々が協力し、安全・安心な街づくりが進められていることが、よくわかりました。今日は、尼崎市保護司会 石田さんにお話を伺いました。