MC: 今年も7月、“社会を明るくする運動”の季節がやってきました。 このコーナーでは“社会を明るくする運動”実行部隊である保護司さんの活動についてご紹介していきます。
お相手は、尼崎市保護司会の伊藤さんです。
伊藤: こんにちは。 保護司歴6年目の伊藤です。立花地区で活動しています。
“社会を明るくする運動”を紹介する放送も今年で4回目になります。 保護司の仕事や役割、それから“社会を明るくする運動”のお話などをさせていただきます。
MC: 初めて聞かれる方もおられると思います。 始めに “社会を明るくする運動” について詳しく聞かせていただけますか?
伊藤: はい。 昭和24年、戦後の荒廃した社会の中で、大きな問題となっていたことの一つは少年たちの非行問題でした。これに心を痛めた 東京銀座商店街の有志が、お腹をすかせた子ども達に支援を行いました。この「銀座フェア」という企画がきっかけで、“社会を明るくする運動”が始まったと聞いています。 今年で72回目となるのですが、一昨年も昨年も 新型コロナウイルスの流行で、さまざまな関連行事が開催できませんでした。 でも、今年は3年ぶりに、サンシビックでの中央集会や 市内6地区での“社会を明るくする運動”地区集会が やっと対面で開催されました。
MC: それはよかったですね。
伊藤: はい、皆様のお顔を見ながら、“社会を明るくする運動”を紹介できるのは大変嬉しいです。7月2日にサンシビックで開催された中央集会では、尼崎市長に「一日保護司会長」となっていただき、尼崎市少年音楽隊の皆さんに集会を盛り上げていただきました。
その後、次々と市内6つの地区で、各地区の保護司が地区集会を開催し、合計千数百人もの市民の皆様が集まってくださいました。地域の理解が広まってこそ、罪を犯してしまった人、非行に走った少年たちの 立ち直りがスムーズに進むと考えています。
MC: 集会の他に、どのような取り組みがありますか。
伊藤: 7月の1か月間、皆さまに見ていただけるように市内10カ所の鉄道駅周辺で “社会を明るくする運動”の のぼり旗を掲揚します。 白地に 『犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ』 と書かれた旗に加えて、今年は、ぺんぎんの ホゴちゃん、サラちゃんのイラストが入った黄色い旗もあります。 かわいいですよ。
MC: ホゴちゃんとサラちゃんは、更生保護のイメージキャラクターでしたよね。
伊藤: そうです、覚えていてくださって、ありがとうございます。
非行から立ち直った 更生ペンギンのホゴちゃん、サラちゃんです。 2人は昔、非行に走り、犯罪に手を染めた時期もあったのですが、周りのみなさんの支援のおかげで、立派に立ち直りました。 彼らに手を差し伸べたのが 保護司のクジラさん、協力雇用主のあしか親方、BBS会員のイルカ兄さんとイルカ姉さん、更生保護女性会のオコジョさんです。
“社会を明るくする運動”のパンフレットや、法務省ホームページに紹介されています。それから今年1月にオープンした尼崎市保護司会のホームページでも紹介されていますので、ぜひ見てください。
MC: いろんなキャラクターが出てきましたね。
伊藤: ところで、昨年から “社会を明るくする運動”のポスターが少し変わり、皆さまに伝わりやすいように、メッセージ性の強いものになっています。先日、稲村市長さんも「いい感じですね」とほめてくださいました。今年のポスターに書かれたメッセージをぜひお読みいただきたいです。一部分を紹介します。
以前、保護観察を受けて、立ち直った女性が、担当保護司から掛けられた言葉を、 今度は彼女自身から 問題を抱えた少女に伝えているシーンです。
“生きづらさ”の向こうにあった世界が、少しだけ近く見えた。
私を拒んでいた世界は、私が拒んでいた世界。
その人の言葉が、世界と私をつないでくれた。
だから今、今度は、君に伝えてる。
―― 大丈夫、世界は広くて、明るくて、
私もいるんだから、きっと大丈夫。
# 生きづらさを 生きていく。
MC: はい。このポスターはどこで見られますか。
伊藤: 地域のコミュニティボードや、市の公共施設、 JAの支店、 コープこうべのお店、 一部のローソンなどで見られます。
MC: さて、今、尼崎市では、何人くらいの保護司が活動されているのですか?
伊藤: 現在 172 名の保護司が活動しています。 約3分の1が女性保護司です。 最近は40代、50代の、保護司会では若手の保護司も少人数ではありますが加入しています。兵庫県下には1,900人弱、全国では 約47,000人弱の保護司が活動しています。
MC: 普段、保護司さんはどのような活動をしているのですか?
伊藤: 先ず、保護観察です。 法務省所管の神戸保護観察所の保護観察官と協力して、犯罪や非行をした人に対して、更生を目指すための約束(裁判所で申し渡された「遵守事項」と言いますが)を 守るよう応援・指導し、生活上の助言をして、社会復帰や立ち直りを助けます。
MC: 保護観察の対象となるのは、どのような人ですか?
伊藤: 大きく分けて、次の4つです。
- 家庭裁判所で保護観察の決定を受けた少年
- 少年院から仮退院中の少年
- 刑務所から仮釈放された人
- 裁判所で、保護観察付き執行猶予の判決を受けた人
以上の4つです。
月に2回ほど、保護司宅へ来てもらい面談をします。 対象者(相手の方のことを対象者と
言うのですが)の家を訪問し、ご家族と話すこともあります。 少年院や刑務所まで、面会
に行くこともあります。 社会に戻ってくる前から、顔を合わせ、手紙のやり取りをして、絆を
太くしておくのです。 再び、犯罪や非行に手を染めることなく、社会の一員として自立し、
更生していく 『意欲を高めてもらう』、その手伝いをするのが保護司の仕事だと思っていま
す。
MC: 最後に、地域のみなさんに呼びかけたいことは ありますか?
伊藤: 繰り返しになりますが、安全で安心な地域を作るためには、犯罪や非行から立ち直ろう
としている人たちを、つまはじきせず、もう一度 地域に受け入れ、 その人たちが地域の中
で適切な 「仕事」や「居場所」を確保する、ということが大切です。数年前、国が「再犯防止
計画」を打ちだし、地方自治体も 積極的に 具体的な方法を考え、実行するように、という
法律ができました。
実は今年度、尼崎市が 「重層的支援推進課」 という新しい課を立ち上げました。保護司
会とも連携し、再犯防止に向け、定期的に 話し合いの場をもうけています。
近年、犯罪の件数は減少していて、保護観察の対象者の数も減っています。ただ、再犯者
の割合は増え続け、今や50%にもなっています。出所しても、「仕事」や「居場所」が無け
れば、再犯に至ってしまう、ということなのです。 仕事探し、居場所作りのために、尼崎市
の健康福祉センターが中心となって、さまざまな支援を利用出来るようになってきていま
す。また、地域の民生委員さんや社会福祉協議会の皆さんからも、心強い協力をいただい
ています。 さらに、地域の皆様のご理解と ご協力も不可欠ですから、 まずは「更生保
護」という活動を知っていただくことがとても大切だと思います。
DJ: 今回は、尼崎市保護司会 伊藤さんにお話を伺いました。伊藤さん、ありがとうございました。
伊藤: ありがとうございました。