2021.08.26 放送 子どもの居場所作り

DJ: 今日は、尼崎市保護司会より保護司の桑原さんにお越しいただきました。

桑原: よろしくお願いします。

DJ: 桑原さんは現役の保健師さんですよね。

桑原: はい、尼崎市役所の職員です。JR立花駅近くの尼崎市保健所で、感染症、特に結核対策の仕事をしています。結核という病気は、昔の病気と思われがちですが、今でも毎年約1万5千人が発病し、2千人が亡くなっている、日本で最大級の感染症です。尼崎市では毎年100人程の患者さんが見つかっています。その7割が65歳以上の高齢者です。結核の早期発見のために、65歳以上の方には 年に1回、結核健診を受けていただきたいと啓発活動に取り組んでいます。

DJ: お忙しい本業の傍ら、ボランティアで 保護司活動以外にも、若者の居場所作り、またSNSを利用して若者の悩み相談もしておられると聞きました。

桑原: 一般社団法人enGrabで代表理事をしています。えんぐらぶでは、10代の社会的孤立を防ぐことを目指して、活動しています。 SNSでの相談は2017年に始めました。全国の中高生から相談が届いています。メールやLINEでの返信は夜間にしています。
この相談窓口の運営を通して、中高生が知らない人に相談することへのハードルの高さを感じました。相談することへのハードルを下げるために、中高生にとって 頼れる近所のお兄さん、お姉さんのような存在になれるように、普段から楽しい場所での関係作りをしたくて、中高生のための 『居場所づくり』を始めたんです。

DJ: 次々に活動が拡大しているわけですね。

桑原: はい。中高生の居場所 『アマたまカフェ』 は、2019年から活動しています。毎月2回、第1・第3土曜日の午後、南塚口町2丁目にある塚口南地域学習館で開催しています。尼崎市の「地域コミュニティ活動支援事業」補助金を受け、市役所の地域課と中学校の協力を得て、近隣中学校でチラシを配布させていただきました。その効果があり、最近では1回あたり15人程の中学生がカフェを利用してくれています。

DJ: 気楽に話せる仲間作り、楽しそうですね。

桑原: 子どもたちは、ボードゲームや塗り絵をして遊んだり、宿題をしたり、読書や勉強をしたりして過ごしています。その子たちが悩み事を抱えたときに、相談したいと思ってもらえる大人の一人になれたらいいなと思っています。

DJ: 本当にそうですね。身近に信頼できる大人がいるって、重要だと思います。さて、本業の話に戻りますが、今、コロナ禍での仕事はどのようになっていますか。

桑原: 尼崎市保健所の保健師として、発熱等受診相談センターでの相談業務に従事しています。初めの頃は、未知のウイルスに対して 強い不安をもつ方が多く、そのやり場のない恐怖や不安をぶつけてくる方が多くいました。長ければ1時間ほどお話を聞くということもありました。相談者自身の体調の心配というよりも、家族など周りの人への影響を心配して不安が大きくなっている方々が多くいた印象があります。現在では、PCR検査をできる医療機関が整い、コロナウイルスに対する情報も増えてきたので、受診先を教えてほしいという相談が多くなっています。

DJ: お世話になっています。さて、最後に保護司になって、どのように感じておられるか、お聞かせください。

桑原: 保護司になって約2年です。保護司が関わる対象者は、社会から存在が見えにくくなっている人たちだと感じます。そのため社会から孤立しやすいです。誰にでも話せるわけではない自分の事情を理解し、分かってくれている人と定期的に会って話せるということは、心の支えになると感じます。

DJ: そうですね。

桑原: 現役で仕事をしながらだと、保護司会の定例会などへの参加が難しく、他の保護司さんと交流する機会が少ないです。しかし、先輩保護司の皆さんがフォローしてくださり、活動を続けられています。

DJ: 保護司候補者がなかなか見つからない、という悩みをお聞きしていますが、桑原さんのように、若い方にも『保護司』というボランティアの仕事を知っていただきたいですね。

桑原: はい、工夫すれば、仕事と両立できると思います。保護観察を受ける少年たちと年齢が近いと、共通の話題も多くなります。